「キュー!」

「キュー!」

 ベリルは泣き止まない二匹の頭を撫でてやり、駆けつけた親に引き渡した。そうして、ざわついている周囲を見回し、自分の荷物があることを確認する。

「……良かった」

 リュートと同様、ベリルも優しい人なのだとティリスは笑顔を取り戻した。

「きゃああ!?」

 気を抜いて視線を外し、飛び込んできたものに思わず叫びを上げる。

「食料とするのだろう」

 ベリルは突然の悲鳴に目を丸くしながらも応えた。

「ああ……。そうよね。うん」

 手に手に包丁を持って血まみれで獣を切り裂いている光景に思わず声が出てしまった。

 リュートは、普段あれだけ魔物を倒しているくせにと呆れつつ、額の汗を拭うティリスの脇にそっと立ち、険しい瞳をベリルに向ける。

 あの巨体を一撃で倒すとは──あれには、どれほどの破壊力があるのか。やはり、あいつから目を離してはならない。