「……怜央(れお)ちゃんっ!」



ドタドタと走る足音。


リズムが悪い走り方。



決して太っているわけではないのに、像が突進してくるような足音を奏でる人物は……



「怜央ちゃん……!」



 俺が振り向くと、茜(あかね)は満面の笑顔を咲かせた。


茜は一つのことしかできないタイプ。俺に気を取られると……


「……ぎゃっ!」



 ……ほら、言わんこっちゃない。



茜は何もない道路で、スライディングタックルでもするかのような、見事なこけ方だった。