明奈と一緒に駅の近くのスターバックスで温かいココアを飲んだ。


やっと落ち着きを取り戻すことが出来た。


「由衣。何があったの?」


明奈が心配そうに聞いてくる。


きっと明奈なら、私の言うことを信じてくれる。


二面性をもつ鳴沢先生のことを打ち明ける決心をした。


「あのね……」


重い口を開きかけたとき、ケータイにメールが入った。


ごめん、と明奈に断ってから、ケータイを開いた。


【メガネ、忘れてるよ】


そのタイトルを見て、ゾクリと背筋が凍った。


―――鳴沢先生だ……。


タイトルだけで文章はない。


文章のかわりに画像ファイルが添付されている。


恐る恐る画面を下に送って、jpgファイルを見た。


あっ、と声を上げそうになった。


そこに写っていたのはベッドに横たわる私の写真だった。


着ているワンピースの裾は、下着が見えそうなぐらいめくれあがっている。


起きたときにはきちんととまっていた胸のボタンが全部はずれ、胸の谷間がはっきりと見える。


油断しきった寝顔。


知らない人が見たら、
『同意の上で何かあった後だ』
と誤解するだろう。


反論の余地がない証拠写真。


実際、『何もされてない』という確信はない……。


「由衣。どうしたの? 真っ青だよ?」


明奈が心配そうに顔をのぞきこんでくる。


「ごめん、アッキー……。私、やっぱりまだ気分が悪くて……」


「大丈夫?」


「また今度、ちゃんと話すから……。けど、ひとつだけ信じて。私、鳴沢先生とは付き合ってない」


明奈は
「わかった」
と笑ってくれた。


「その代わり、由衣もひとつだけ信じて」


「なに?」


「私、鳴沢先生より由衣の方が大事だから。それ、今日、はっきりわかったから」


うん、とうなずいたはずみに安堵の涙がぽろっと頬をすべった。


―――きっと何があっても、アッキーだけは信じてくれる……。