左手の中指にはめられた、魔法発動体の指輪から光が発せられる。

「我命ずる、猛り狂う眼前の敵に束縛の鎖を」

私が呪文を詠唱すると、呼応するように光は一本の帯となって宙を飛翔した!

目掛けるは、今にも学園の敷地を取り囲む高い塀を乗り越えようとしている男子生徒!

即座に光の帯は彼を雁字搦めにして。

「うおあぁぁあっ!」

無様な悲鳴と共に、塀の下の植え込みの中へと落下させた。

「全く」

両手を腰に当て、エルフの特徴である尖った耳をひくつかせて、私は溜息をつく。

「授業中の許可なき学園外への外出は禁止!生徒手帳にも書いてあるでしょう!」