「そこ間違ってる。
違う、そうじゃない。」

授業中、隣から伸びてきた手を
アタシ・前澤美樹は勢いよくひっぱたいた。

「…いって。
何すんだよ、間違い指摘しただけだろうが。」

はたかれた手を摩りながら、分厚い黒ぶち眼鏡の奥の切れ長の目でアタシを睨みつけるこいつは、古川卓真。アタシの隣席の男子だ。