―2つの線―


奈桜はスタジオを出て、外にいた。
少し感じる風が肌に心地良く、気持ちも次第に落ち着いて行く。
視線の先には、ちらほら見える小さな星たち。
1番見つけやすい北斗七星を見つけ、奈桜のテンションが上がる。


「…って事は……あれが北極星だな」


ただボーッと、星を見ていた。


「昔…キャンプで流れ星、いっぱい見たなぁ」


小さい頃は早く大人になりたかった。
宿題もしなくていいし、怒られなくて済む。
大人は、子供の頃の奈桜にとってはひとつの『自由の象徴』だった。
何でも自由。
でも実際は…
子供の方がどれだけ『自由』だろう。
大人には、時には自分の思考さえコントロールされている時がある。


「バカだな。オレ。…もう決めてるのに。何を悩んでるんだ?」