“じゃあ、また後で。…今日の夜、メールする”


“おまえ、男に声かけられたくらいで、シッポ振って喜んでんな”



「……」


さっきのは一体
何だったんだろう…


あの時感じた、翔のあの強い視線の理由は分からないまま


同じ班で知り合った直哉くんとは、お互いの連絡先を交換していったん別れたあと


しばらくしてわたしも詩織ちゃん達と教室を出る。



「ねぇねぇ、うちのクラスにいるあのメガネかけてた人さ
超カッコよくなかった?あたし、ちょっと気になるかも♪」


「そう?わたしは興味ないな。
ってか中学んときから思ってたけど、あさみってほんと昔っからメガネフェチだよね」


「え~だって!あの黒ぶちメガネが似合う感じが!キュンとしない?」


「あーはいはい。しますねします。っていうか女子更衣室ってどこ?こっちで合ってんの…?」


そのまま三人並んで、ワヤワヤと話す二人の会話に耳を傾けながら

頭の中はぼんやりと、真下の廊下を見つめて歩いていたとき


「気になるといえば同じ班の新垣くんはゼッタイ
加奈子に気があるよね♪」


真ん中を歩くあさみちゃんが突然クルッと顔の向きを変えたかと思うと
ニンマリした表情で口を開いた。