「…え?」

病院のベッドに横たわる和泉は信じられないようなことを口走った。

絶対ウソ


ウソだよ…


貧血とかじゃないの?!だっておかしいよ…
いつもだましてくる和泉が…

「こればっかりはウソじゃないんだよ」


手で隠された和泉の瞳から、涙が零れる。

…本当なの?
和泉が…







和泉がエイズ?!







「…涙ちゃん、ちょっといい?」

「おばさ…」

私は和泉のお母さんに連れられて外に出た。
私たちの気持ちをあざ笑うかのように、太陽がこちらをむいて、ギラギラと照りつける。

「多分エイズ…だって。和泉、私たちには内緒でおじさんと検査受けに行ってた…。

…9年前、旅先で和泉、大怪我してね。輸血してもらったの」

…輸血

確か、学校で習ったよね?イエズは血と血の混合…

¨輸血¨

¨外国¨…



輸血でエイズになったってこと?!


「…っもう9年よ?!…あの子、普通の子の免疫力の六分の一もなくなってるって…うっ…いつ、発症してもおかしくなんかない…っ…」

「おばさんっ…!」