入学式当日。



今日から新しい第一歩だという記念すべき日……私は朝から憂鬱な気分に押しつぶされそうになっていた。



「雅紀君……」



中学校の入学式の日、全校生徒の前で答辞を読んでいる姿に一目ぼれしたんだ。



それからなんとか仲良くなって、友達として接してくれるようになった雅紀君。



色素の薄い肌や瞳の色は女の子たちからすごく人気で、知らない間にファンクラブまで出来上がっていた。



本当は、私もその中に入りたかった。



でも……『俺、ああいうの苦手』雅紀君が、友達である私に言った言葉。



それを聞いてから、私はファンクラブに入ることはできなくなっていた。



好き。



だけど、出会い方を間違えてしまったみたい。



友達になってしまえば、そこから抜け出すことが怖くなる。



困難になる。