それは、卒業遠足から帰ってきたばかりの頃だった――。

 卒業遠足は修学旅行とは別に行われるイベントで、日帰りの小旅行。クラスごとに行く場所が違い、俺のクラスでは、隣りのT県にある山へハイキングに行くことに決まっていた。バスで片道四十分の旅。

 その卒業遠足が楽しかったかと訊かれても、俺はあまり覚えていない。丁度、その日はお腹を壊しており、それどころではなかったのだ。

 そんな卒業遠足から帰ってきたばかりのある日、休み時間に親友の池田が声をかけてきた。


「なぁ、土偶とは関わりたくね~けど、今日の放課後さ、リカ達がコックリさんやるって云ってたから土偶も誘ってみようぜ。面白いじゃん。本物の幽霊が見えたりしてな」


 池田は目を輝かせ、好奇心丸出しでそう云う。

 俺は、何度か土偶の不思議な力を目の当たりにしていたので、親友の池田に一から話したことがあった。

 まぁ、土偶も友達が欲しいわけだし誘ってみるか。
 俺はそんなふうに良い方向に考えていた。


「じゃ、俺が土偶に話してみるよ」


 俺がそう答えると、池田は「じゃあ、俺はリカ達に話しておく」と云った。