――嫌い、か…。

屋上につくと、俺は息を吐いた。

何となく、わかっていた答えだった。

わかっていても近づいたり、あきらめなかったのは、冴子さんを自分のものにしたかったからだ。

「もの、ってほどでもないか…」

結局は、ダメだった。

好きになってくれなかった。

強引に演じて見ても、冴子さんは振り向いてくれなかった。

「バカか、俺は」

入社する前から、ずっと片思いをしていた。

ずっと、冴子さんを思っていた。

なのに、
「最低だな」

冴子さんを傷つけてしまった。

冴子さんに嫌われてしまった。