「部下の野際冴子さんです」

「初めまして」

迎えたお見合いの日は、キレイな青空が広がっていた。

西山部長に紹介され、私は丁寧にお辞儀をした。

「これは素敵な人ですね」

そう言って爽やかな笑顔を見せたのは、写真で見た御曹司の男性だ。

名前は岸田右京(キシダウキョウ)さん、私とは3つ年上の30歳だ。

実物を見たらガッカリするなんてよく言うけど、実物の方がすごく素敵だ。

「じゃあ、私はこれで」

西山部長は頭を下げると、私たちの前から立ち去った。

ひゃーっ、2人っきりだよ。

そう思いながら、チラリと岸田さんに視線を向けた。

私と目があったその瞬間、彼はニコリと微笑んだ。