先程より辺りは暗くなり、もう見通しが悪くなっていた。夏実は見えるが、先頭を歩くアイツはうっすら見えるくらい。
……そろそろか。そう思った瞬間だった。

「夏実っ」

私は夏実の首の根っこを引っつかみ、思いっ切り引っ張った。

「に゛ゃっ」

夏はよろけつつも、なんとか踏ん張る。

「なにすん……」

「前だバカっ」

私は銃を取り出す。
アイツは既に構えていた。

「え?え?」

夏実は状況がわかっていないらしい。
私が説明してやろうと口を開いたが……

「囲まれてる」

アイツに先を越された。
こういう状況になれているのか、声はとても落ち着いていた。

「う、嘘っ」

夏実はわたわたしながらも、三節棍を引っ張りだした。