薄暗い林に入ってからだいぶたった。
夕暮れ時らしく、木の隙間からは赤い光が差し込んでいる。

私はちらっと先頭を歩く竜ってやつを盗み見た。
アイツは本当に案内役なんだろうか?
私たちはなにも確認せずについてきてしまったが……。
まぁ武器をむけてきたら返り討ちにしてやるけどな。
私は左に収納している銃を、そっと撫でた。

気は抜けない。
心の準備をしておかないと。
私はすべてに神経をとがらせた。
私たちの足音だけではなく、鳥のさえずりや時の流れにまで。
少しずつ薄暗くなりつつある空の色さえも、私は重要に感じてしまう。
隙を見せてはいけない。
あの時のように。