とても静かな夜だ。
布団に包まれながら、ぼんやりと私は思った。
不思議な気分になる。
ボレアスではこんなことはなかった。
ボレアスの人間は夜中に活動する人が多かったためだ。
それに、研究に没頭しすぎて気づいたら朝だった、なんて話しはよく聞いたしな。

しかしよくよく耳をすませると、寝息が聞こえる。
右隣りで寝ている夏実の寝息だ。
私はムクリと起き上がると、夏実を見下ろした。
うるさいわけではないが、どうも気になる。
……そうか、今までにだれかの寝息をきくことがあまりなかったからかな。
外のがうるさいし。
そんなことを思いつつ膝をたてた。
体は疲れてるはずなのに、眠れない。
頭が冴えてるようだ。