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あたしの日常に、


波風なんて立つ予定はなかった。














「……4回目」



いったいあのヒトは、1時間のうちに何度あくびをするんだろう。



教室の窓から見下ろす中庭の上。


白衣を着た美術のセンセイは、


デッサン中の生徒たちの間をふらふらと歩いている。



陽だまりの中を散歩するみたいなその姿は、


たとえそうでなくとも、あたしの目には退屈そうに映った。