朝、俺の仕事は電話をかけることから始まる。

「おはようございます、社長。朝ですよ。起きていますか?」

『んあ~…。もう朝かぁ』

電話越しに聞こえるのは、寝惚けた彼の声。

「もうすぐ御宅へ向かいます。それまで起きていてくださいね?」

『努力はするぅ』

「…分かりました。それでは切りますよ」

いったん電話を切り、車に乗り込んだ。

彼の住む高級マンションまで、車で15分とかからない。

指紋と声、そして動脈のチェックを受け、カードを通してようやく中に入れる。

最上階のフロアは全て、彼のモノだ。

寝室に入ると…やはり二度寝していた。

「起きてください、社長。朝食の準備をしときますから、シャワーを浴びてきてください」

「んあっ…? ああ」