窓の外は、
緑、緑、緑。

私が乗っているバスは、田んぼの真ん中を走る。
道がしっかりと舗装されていないせいか、車内は時々ガタンと大きく跳ねながら緑の中を進んでいく。田んぼと田んぼに挟まれた道は狭くて、タイヤがはまらないのが不思議だった。

なかなかスリリングだったけど、40分も乗っていたからさすがに慣れた。

乗客は私一人。

山、田んぼ、畦道……時々、民家。
以上が、バスの窓から分かる周りの状況。

つまり、すっげー、イナカ。

となりのト●ロみたいな感じ。

まあ覚悟はしてたけど。

目に優しすぎる光景を前に、私の口からはため息しか出てこなかった。

「あんた、終点だよ」

運転手に声をかけられて、私は急いでキャリーケースを引っ張る。

あー、着いちゃったよ!

バスを降りたらそこには、素敵なカントリーライフが待っている!

はずもなく。


私はだらだらとキャリーを引きずって、おばあちゃんちを目指した。

サ●キちゃんとメ●ちゃんには悪いけど、私は都会のが断然好きだ。