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午後の授業は上の空になることが多かった。

ノートは取っているけどちっとも頭に入らないんだ。

取っている文字がただの記号に見えて仕方が無い。

読めるけど理解していない、そんなカンジ。

成績は下げられないんだけどな。

一応補助奨学生なんだ。

成績が下がったら学費免除が白紙にされちまう。


何度目かの溜息をついた。


だってなぁ。鈴理先輩に男前……じゃない、女前に一丁前に口説かれたらな。


人のことを所有物だと連呼する反面、真面目な顔で好きです発言もしてくる。

金の有無であたしの気持ちなんて変えられない、なんて言われたら、こっちは嫌でも意識する。

軽い気持ちで接しているわけじゃない、鈴理先輩は俺にそう言った。

けど、俺達は付き合っているわけじゃない。


一方的に先輩からアタックを受けているだけ。

ちょっとアタックの仕方が問題あり、だけど、こんな俺のことを好きだと言ってくれる。


いやそれどころか、セックスしたいと言ってくれる……先輩、順序が間違っていると思うんだけど。


本当に俺のことを好きだって言うならまず、好きから始めるもんだろ。

俺等の出逢いってキスから始まっただろ?

イヤーン発言から始まっただろ?

キスに次いで性交しましょう、だなんてどんなアピール法?!


「それともあれが先輩なりのアピールなのか」


俺は頭を抱えた。

相手は財閥のお嬢様でやや常識に欠けた人だ。

あれが彼女なりのアピール法だって言われればスゲェ納得。


でもだからってあんな口説き方あるか?

普通に口説いてくれれば、平凡男子の俺なんか、一瞬で落ちるっていうのにさ!