「…おかしい」

静寂に包まれた城を、草陰から見つめ呟く。

すでに日がのぼりはじめているというのに、人の気配が全く感じられない。

俺はひゅぅっと息を短く吸い込むと、ダッと城門を越え、城の中に入った。

「なっ…!?」

目の前に広がったのは数えきれない数の死体だった。

「いったいこれは…」

慌てた様子で近くに倒れていた死体を確認していく。だが、どの死体もすべてすでに息はなく、冷たく、固くなっていた。


主は!?


すぐに彼のことが頭をよぎった。
自分以外の者達を護衛につけていたが、胸の中にざわざわとしたものが広がる。


嫌な予感がする。


俺は急いで城の中に駆け込んだ。