夢の中での出来事のようだった七月のあの日が終わり、再びいつもの日常が始まると、僕は誰彼構わずこの時の出来事を喋るまくった。

 そうする事が自分に与えられた使命でもあるか如く喋りまくる僕を、マーサは呆れた目で見ていた。

 レナとはT・Jの件で意見が食い違って以来、以前程言葉を交わしていない。

 店からの帰り道も終始黙りこくったまま、

「お休み……」

 の一言だけで別れる日が続いていた。

 レナが頻繁にリュウヤさんやリサと、『サッド・マン・スリー』以外の場所で会っていると知ったのは、梅雨もすっかり明けた夏真っ盛りの頃だった。

 その事を教えてくれたのは、リサだった。

「ウチの部屋で珈琲でも飲まない?」

 と、彼女が午後のティータイムに誘ってくれた。

 てっきりリュウヤさんも居るんだと思ってたら、出掛けてると言う。

「リュウヤさんの留守の時に上がり込んだらまずくない?」

 ソファに腰を降ろしながらも、何となく落ち着かずそわそわした。

 普段から露出の高い服ばかり着ている彼女は、この時も、何時も以上に悩ましいばかりの恰好をしていたからだ。

 お尻が半分出ちゃってるようなホットパンツに、お腹が丸出しのチューブトップ。

 彼女が動く度に、いつずり下がるかと、ドキドキしていた。