二人の逢引きの場所である理科準備室のドアをそぉっと開けた美月は、正面の机で仕事をしている谷川に声をかけた。

「せんせっ!」

顔を上げた谷川は美月を手招きする。

美月は鍵をかけた事を確認し谷川に歩み寄る。

「せんせ、何やってるの?」

谷川が読んでいた資料を見るが、あまり理数系が得意でない美月にはちんぷんかんぷんだった。

「あー、今度研究発表があるんだよ」

椅子の上で大きく伸びをした谷川が美月に膝の上に乗るように促す。

恥ずかしいんだよ…それ…。

美月は少し顔を赤らめて、でも逆らわず谷川の膝の上に座った。

腰に手を回して美月を抱き寄せる。

「もうっ!せんせってば恥ずかしい!」

「せんせじゃないだろ。二人の時ぐらい名前で呼べ」

むっつり言う谷川に美月は子供っぽいなぁと思いながら軽く笑う。

「涼平」

名前を呼ぶと満足気な表情をして美月を引き寄せ唇を重ねる。

「んっ…ん」

鼻から抜けた美月の艶っぽい声に涼平は舌を使って唇を割る。