「あ。おはよう、葉月ちゃん。」


くそ…なんでまた…


玄関を開けて1番に東雲を目にして、心の中で舌打ちする。


「…なんでいるの。」

「そりゃあ姫のお迎えをと。」


…誰が姫だコノヤロウ。


はー、とあたしは肩を落として門を閉めた。


「あんたの隣を歩くと、女子の視線がグサグサ突き刺さって嫌なんだけど。」

「仕方ないよね、俺のせいじゃないし。」


…そりゃあ半分間違ってるだろ。

あんた相当なフェロモン撒き散らしてるらしいじゃないか!!

あたしにはわかんないけど、背景に花が咲いてるのは確かだ。

少々睨みをきかせてみるが、あっさりスルーされる。


「毎日一緒にいるところ見れば、みんなそのうち諦めるって。」


「まぁ…そうかもしれないけど…。」


その諦めがあたしたちの目的…

って、ん??


「ちょっと待って…毎日一緒にって…」


「うん、ホントに助かるよ。ありがとう。」


ニッと口角を上げて意地悪く笑う東雲。

ちょっ…ていうか待てコイツ、なんかあたしが嫌な顔するの見て楽しんでないか!?


「なんで毎日あんたなんかと一緒に!?」


「俺、葉月ちゃん気に入ったし?」


…はあぁ???


「何ソレ…?」


「うん、そーいうところとか。」


いやいやいやいや。

全然意味わかんないんだけど。