世間では今、「フェイクハント」というRPGのテレビゲームが流行っている。子供はもちろん、大人まで人気のゲームソフトだ。

 ゲームの内容は、主人公【チェスター】が悪に満ちた世界から平和を取り戻すため、ナイフか弓矢かムチの三種類の武器から選び、仮面を着けた悪い敵を次々に倒していくのだ。

 【チェスター】に倒された敵は、仮面が外れ普通の人間に戻っていき、最終ボスの仮面を外せば、世界に平和が戻り、めでたくクリアとなる。しかし最終ボスは仮面を着けたもう一人の【チェスター】であり、人間の善と悪を描いた設定であることも、このゲームの人気要因の一つである。

 おもちゃ屋さんでは、そのゲームに出てくる仮面や武器が飛ぶように売れていて、新年会や忘年会はもちろん、この仮面を着けグッズを持ち、宴会芸をやる者も多々いるらしい。

 しかしここ最近では、このゲームを擬えた連続殺人事件が発生しているため、今では「フェイクハント」を知らない者の方が少ないのである。
 このゲームを作った会社は、困惑している様子だが、事件のおかげで、売れ行きも伸びている事実もあり、実際はそんなに困惑してはいないのだろう。