「・・・待って!」




 ハッと気付くと、天井へ向かって手を伸ばしていたあたし。




(あ、そっか。ここ病院だった・・・)




 凌哉としばしの外出を楽しんだ後、あたしは病院へ戻されていた。




「もう少しいたかったなぁ」




 そう呟いた自分に驚く。




(え、あたし何言って・・・)




 と、その時かすかに笑い声が聞こえた。




「あ、凌哉さん!? いつからそこに・・・」




「梨依が起きる前から。つか、またさん付けになってるし」




(うわぁ・・・独り言聞かれてたんだ、恥ずかしい)




「そうだった、凌哉って呼ばなきゃね! って、凌哉?」




 見ると俯いていた。具合が悪いのかと不安になる。




「や、ごめん。あまりにも梨依がかわいくて・・・」




 その言葉に一気に顔が赤くなる。