次に来夢が「夢」を見たのはひと月後のことだった。
夢に出てきたのはサラリーマン風の中年の男だった。

夢を見た二日後、駅で夢に出てきた男を見かけた。

男は誰かと待ち合わせをしているようで、駅の前で時計を気にしながら周りを見ていた。

来夢は自分の「仕事」について思い出し、少し迷ってからそれでも男に歩み寄った。

「あの」

「ん?なんだい?」

男は来夢の方を見て首をかしげた。

言うか、言わないか。
少し迷ってから、意外とあっさり言葉が出てきた。

「オジサン、もう少しで死んじゃうかも。人を助けて。だから悔いの無いようにしておいて。」

少ししてから男は来夢に向かって
「そうか。じゃあ気をつけなきゃな。でも人を助けて死ぬならいい死に方かもしれないな。」
と笑顔で言った。

来夢はその場を走り去った。

なんで。
なんでだ。
怒るだろ、ふつう。
勘弁してくれ、こっちがおかしくなっちまう。

こらえきれず、涙を流しながら家に帰った。