翌日も夢に現れたエンマ大王が俺に告げたこと、それは。

俺に与えられた「仕事」についてのルール。
それはただひとつ、

「その死を防ごうとしないこと」


「気を付けろ」程度の注意くらいなら許されるらしいが、
俺が過度に注意を促したり直接的な行為でその人間を助けてはいけないらしい。

そうした場合、俺が死ぬ。
そう言われた。


なぜ死の宣告なんてしなければいけないのか。

それはその人間に「死」を覚悟させるため。
そして残り少ない余生を悔いの無いものにさせるため、だそうだ。

俺のほかにもその仕事をする者達がいるとのことだった。

地獄というのは俺が思っているよりひどい所ではないみたいだ。
悪かった人間を更正させるようなところなのかもしれない。

「我らとて鬼ではないからな。死期の近い人間にそれを告げてやるのだ。心の整理というものもできよう。」

いや、鬼だろ。ツノ生えてるしね。
そのツッコミは命に関わると思ったので我慢した。

「では、お前は今からこの地獄の使い、」


「死神だ」