――――ヒュンッ……




風を斬る音と共に振り下ろされた蒼からの攻撃を、身体を反らして間一髪で避ける。

でも、実戦慣れしていない俺はよろけた身体を簡単には立て直せず……。

力の抜けた手から、短剣が滑りおちていった。




「――――遅いわ」




蒼が俺の懐に入り込んで来るのに気付いたのは、剣が後わずかで俺の身体にとどくていう時で……。

その言葉と共に迫りくる剣の切っ先は的確に俺の心臓に向いている。

これはさすがに……




――――避けられねぇ……っ!!




すぐに襲うであろう衝撃と痛みに、俺は反射的にきつく目をつぶった。