ケータイ小説 野いちご

画面越しの恋人

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 例えるならボクは、ペンケースのなかに転がる割れた消しゴムの欠片みたいな奴だ。普段はその存在に気付かれもしない、邪魔ではないが決して必要でもない、そんな人間。
 時折消しゴムが見当たらないことがあって、そんなとき人々はペンケースの隅にたたずむボクを指差してこう言う。ああ、あいつでいいじゃん。
 思えば、14年間の人生のなかで「いなくなったら困る誰か」であった記憶がひとつもない。
 しかしながらこれは、ボクがボクとして生まれてきたときから決まっていたことなのだ。それといった個性もない奴が落ち着くのは、「いなくなっても大して変化のないクラスメート」というポジション。
 諦めたのではない。身の程をわきまえているだけ。自分の能力以上の印象を他人に与えたがる人間は叩かれる。
 だからボクは、今日もこうして教室の隅で誰にも気付かれず呼吸をする。鉛筆にもボールペンにもなれない、割れた消しゴムの欠片みたいに。

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