「もうぎゃふん!の一言だよ。僕はどうしたらいいんだ?」
放課後の廊下で頭を抱えてるかわいそうで滑稽な僕。
冬は日が短くて、外はもう夕焼けだ。

「そんなに好きなら告ればいいのに」
能天気智紀はさらっと言う。

「それができてれば苦労してないって」
「なんで?青に限って勇気が出ないとかはないだろ」
じろっと智紀を睨み付けた。もちろん見上げてだけど。

「この際、理由とかいらないだろ。好きになるのにいちいち理由つけてたら、らち明かないって」
珍しく智紀が真面目なことを言いやがった。
「そりゃ、そうだけど」
思わずうなずく。

「ほら、本能で生きてる青なら理由なんていらないって。よっ。この野生児っ」
って、どさくさに紛れて言いたい放題かよ。
「佐伯ちゃん、付き合ってる人はいないんだろ?」
「好きな人もいないってさ」
「すでにリサーチ済みかよ。お前らしいな。それで何で告れないんだよ」
「余計なお世話」
う~ん、と伸びをした。
関節がぱきぱきいう。