仲の良い家族が久しぶりに会ったという雰囲気だった。


高校生の杏梨はオレンジジュースを飲みながらお寿司を食べていた。


ママでもお寿司は作れないから近くのお寿司屋さんからとったのだ。


「杏梨、サーモンあげるよ」


雪哉が杏梨の飯台の中に杏梨の大好きなサーモンを置いた。


「じゃあ、ゆきちゃんに(うに)あげるね」


お寿司をとれば決まってお互いの好きな物を交換する。



* * * * * *


「お父さんたちはいつ日本へ経つの?」


ゆずるが食後のコーヒーをみんなに配りながら聞く。


杏梨は起きたばかりの陸君を抱っこしていた。


赤ちゃんの匂いって良い匂い♪


陸の頬に唇を寄せていると雪哉の目と合った。


目が合った雪哉は杏梨にふんわりと微笑む。


その笑みに杏梨は嬉しくなる。


「杏梨の学校の手続きがあるからとりあえず春樹さんだけ来週の金曜日に発つ予定なの」


えっ?


ママの言葉に私は耳を疑った。


まさかそんなに早く行くとは思っても見なかった。


しかも私を連れて行くの?



「そうですよね~ 杏梨ちゃんの学校が変わるとなると色々と手続きがありますよね」


ゆずるが色々と大変そうだと頷いた。


「ちょ、ちょっと待って!」


どんどん話が先へ進んでしまって杏梨は置いてきぼりを食らった心境だった。