─────
────





そして、翌日。


時間でいうと、丁度正午前。



考えすぎて正直あんまり眠れなかった私は、

欠伸をかみ殺しながらマンション前で春さんを待っていた。



10月ももう半ばなのに、温かい今日。

それに休日だからか、
道を歩く人が結構いてる。



はー……

みんな平和そうだね……

羨ましいや。




そんな事を考えながら

ポケットに手を入れると……


お兄ちゃんが置いていった、“ある物”の感触がして。



はぁ……


また、胸が痛む。




お兄ちゃんは一体

何のタメにこれを?





そんな時




ブロロロロッ



けたたましい程のマフラーの音がどこからともなく聞こえてきて、

キイッというブレーキ音と共に
私のすぐ脇で停まった。



手入れされた真っ黒の大きなバイクに、
ピカピカのヘルメット。



まさか……これは……


微かによぎる思い。




バイクに跨ったその人は、
爽やかに被っていたヘルメットを外した。





「よぉ、音遠!待たせたか?」



「春さんっ!」




やっぱり!