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ドキンドキンと煩い心臓は、
きっと当分静まらない。




その広い胸、


スラッとしてるのに程良く筋肉のついてる腕と体。


微かに香る、香水の香り。



全部が全部、
私をドキドキさせるの。





「お前が狂ってるっつーんなら……

俺は、その何百倍も狂ってるよ」





――お兄ちゃんの

その低くて甘い声を聞くだけで、
私は狂ってしまいそうになる





「音遠、……好きだ。

ずっとずっと、大好きだった。」





――ねぇ、お兄ちゃん?





「俺と一緒に……堕ちるか?」





――この時ね?

私……


お兄ちゃんが、
泣いてるように見えたんだ。



錯覚かもしれない。

幻想かもしれない。



けど、



何故か泣いてるように見えたの。




それにね?



この時この手を突き放したら……



きっともう二度と、


お兄ちゃんは私の瞳を見てくれないような……


そんな気がしたの。





――堕ちるのは、怖いよ?


怖いに決まってる。



“近親相姦”なんて……

口にするのも、怖いから。





けど……

けどね?