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『バカ兄なんて、
大っ嫌いなんだからね!』





“大嫌い”。




その言葉を聞く度に、


俺の心は

ヒドく、安心した。





――“大嫌い”という言葉は、

俺にとったら精神安定剤のようなモンだったんだ。



その言葉を聞くだけで、


あぁ、音遠には幸せになってほしい



心からそう……

思えるんだ。





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震える肩、
ポロポロと止まらない涙。


小さな体で精一杯俺に気持ちをぶつける……音遠を見て。



いてもたってもいられなくなった俺は……




……その壊れそうな程
細く華奢な体を、


キツくキツく、


抱き締めた。





俺の顎辺りに触れる、
サラサラの音遠の髪の毛。


そしてそこからふんわりと香る、
俺と同じシャンプーの香りに……



今まで我慢してたモノ全てが、

どうでもよくなりそうだった。






なぁ、音遠。



お前はあの『約束』……


思い出してしまったのか……?





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