「ねえ、ちょっと見た?」


「見た見たー」


「超ヤバイよねー」


「うんうん」



はぁ~。

わたくし、琴月奏は先ほどから困っております。



「私、光くんのファンになっちゃった」


「美沙は昨日まで遥くんのファンだって言ってたじゃない。

『イヤー、遥くん、やめないでー』とか言ってたくせに」


「だって、みんなかっこいいんだもん」


「私もあの芍薬のようなほほえみを受けてみたいわ」



どうしてこんなことになっているかというと、昨日の生放送がかなりの高視聴率だったらしい。

あの私のぎこちない笑いがなぜか好評だったらしく、朝のワイドショーを見たときには自分の顔が映し出されていてびっくり。

『ほほえみの貴公子』というあだ名までつけられてしまった。


それで今、学校にいるんだけどみんなその話をしてて、自分のことをかっこいいとか言ってるから、なんか恥ずかしくて居心地が悪い。


机に突っ伏して少し赤らんだ顔を隠す。



「女の子ってどうしてああなんだろー?

すぐファンのアイドルとかかわるよね」


頭の上で声がして見上げると案の定、由梨亜だった。