早朝に宿を出、馬を駆って約5時間程。

鬱蒼と茂る森の奥深くに、その屋敷はあった。


二人が馬を降りると、
屋敷から髪の長い女性が出てきた。


「もうそろそろだと思ったわ」

「相変わらずだな、マーラ」

「貴方もね、クロード。さあ、お入りなさい」


促され、二人は屋敷の中に入った。

案内されたのは、
広い応接間らしき部屋。

ちょっと待ってて、と言われ、
クロードは少し古ぼけたソファに腰を降ろす。

サンルドもそれに習って腰を降ろした。

辺りを見渡すと、
家具等が以前来た時と全く変わってないことに気がついた。

以前と言っても、もう何十年も前の事。
変化を好まない、あの人らしい。



「初めて来ましたけど、
なんか…如何にもーって感じですねー」

「ああ」

「そう言えばあの人以外、
人の気配がしないんですけど…
一人暮らしなんですかぁ?」

「一人が好きらしい」


こんなに広いのにねぇ、とサンルドは呟いた。