「ごめんね。まさか、アッキーが休憩をずらしてるだなんて……。知らなかったの」

あの日、控え室から帰ってきた笹野京香は、疑うように見るあたしに両手を合わせ、申し訳なさそうに頭を下げた。

けれど、その言葉も嘘に聞こえてしまう。だって、休憩に入るときも、戻ってくるときも、彼女は楽しそうで……。

篤紀と肩を並べ、満面の笑みを浮かべていたんだもの。

普通ならわかったときに、慌てて「知らなかったの」って言ってくるでしょ。

だいぶ経ってから、思い出したというかのように謝られても、「ごめんね」なんて気持ちは伝わってこない。

多分、彼女は知っていた。あのとき篤紀とも話していたんだし、きっと時間をずらすことも聞いていたと思う。

あのまま通常で回していれば、あたしと篤紀は一緒に休憩できていた。なのに、わざわざ順番まで変えて……。