目の前にいるのは、眼鏡を外した愛しい男。切れ長の二重まぶたに見つめられると、胸がグッと締めつけられる。

普段、服を着ているときはわかりにくい、肩や腕の筋肉。それを知ってるあたしは「特別」なんだろうなって、この瞬間になるといつも再確認できるんだ。

「……ねぇ、篤紀」

「ん?」

「……い」

「え?」

野獣になった彼の、掠れた声。耳にかかる息がくすぐったくて、あたしはゾクリと身を震わしながら、目を閉じた。

「……たいの」

「ん、何?」

太い首に両腕を回すと、しがみつくようなこの体勢に興奮したのか、覆いかぶさる彼は耳を傾けながらも息を荒くする。

苦しくて、もどかしくて……。あたしは彼の肌に爪を立てながら、大きな声で叫んだ。……冷や汗を流し、泣きわめくように。

「痛いって言ってるのよ!! このくそったれ!!」

付き合ってから1年半が経つというのに、あたしたちはまだひとつになっていない。