彼はもう随分と前から歩き続けて来た。

誰かに強制された訳ではなく自らの信念に従い歩く事を選んだ。

彼には望みたい眺望があったからだ。

ここまで歩き続けて来るまでには幾多の困難があり、その全てを努力と忍耐により乗り越えてきた。


だがそんな彼もある巨大な困難によりとうとう心が折れかけた。

地に跪きうなだれ「もう歩けない」と呟いた。

そんな時、風が吹き太陽を隠していた雲が流れ、ほの暗かった辺りが陽光に満たされた。

彼が視線を上げると顔に陽の光の暖かさを感じて自然と顔が綻んだ。

そして彼は立ち上がり再び歩き始めた。

ずっと目指し続けたあの場所へ向かって。

この先歩き続けてゆく中で幾多の障害や困難があるだろう。

だが何もかもうまく行くと思えた。


なぜならば


空はとっても青いから。



   ‐おわり‐