(Ⅱ)


姫がどこに向かっているかは知らないが、とりあえずクロスは彼女の隣を歩いた。


手は剣の柄に。何があっても対応出来るようなスタイルを保つのは彼女のため。


森の中の道だ。
襲われるのには最悪だし、襲う方はさぞ好奇に見えるだろう。


俺が彼女を守るんだ、と彼は集中していたわけだが。


「クロス。アリスのお話はご存じですか」


「アリス……?」


彼女に話しかけられ、つい集中が途切れてしまう。


横を見れば、にっこりとした綺麗な顔。


染まった頬を見られないようにそっぽを彼は向くが。


「は、はいっ」


噛んだ。
そんなことに構わず、知っているなら話しが早いと彼女は言う。