(Ⅰ)


彼が目を覚めると、そこは見慣れない場所であった。


「あ、れ……?」


寝ぼけ眼をこすりながら周りを見る。


確か自分は、自室のベッドで寝ていたはずだ。


「外……?」


それが屋外になっているのだから、首を傾げるだけの話ではない。


「これが夢遊病ってやつか……」


もとからのバカさと寝ぼけた頭が壮大すぎる勘違いを生む。


寝台代わりの木の幹から立ち上がり、さあここはどこだろうと。