とうとう明日は私立の受験日だ。
私立一本でいく人もあれば、併願で受験する人もいる。
私は併願組だ。
そして村井も…
「だってさぁ、併願枠って少ないからさぁ、俺落ちるもん。」
「ぐだぐだ言ってないで、一言一句聞き漏らさないように授業受けなよ。」
「この9年間、出来なかったことを今更やれと?」
別にやらなくてもいいけど、あんたが損するよ。
私は馬鹿馬鹿しくなって村井から視線を逸らした。
「おい。」
無視するのが習慣になってきた今日この頃。
「おいってば。」
最初は罪悪感があったけど、むしろ授業妨害を受けている被害者は私だと気付いてから躊躇なく村井を無視している。
「なぁ、無視されんのいい加減哀しい。」
「じゃあ、無視されないようにすれば?」
「言うね、泰那~。」
いきなり介入してきた友莉にあからさまに嫌な顔をする村井。
最近、友莉が話しかけてくるようになった。
きっと、友莉の隣の席の子がインフルエンザで休んでいるから。
その子は幸い私立は受験しない。
きっと本人達は胸を撫で下ろしているだろう。