「やっぱ、桜は日本が一番よね~~」


「...」


「はい。檸檬、おかわりちょうだいな?」


「あ、うん」


差し出された空になった缶を受け取って、新しいビールを差し出した。


「う~さんきゅう~~」


「あ~やっぱり家族水入らずでの花見はいいもんだよな~」


お弁当の海苔巻きをほお張りながら父さんが言った。


「当たり前だろ?何時からここの場所取りやってると思ってんだよ!」


「「「七時」」」


「...お、おう。そうだよ」


「爽君。それもう聞いたよ」


「さっきから、それ何回目だ?」


「三十回目だよ。隆兄」


「...ひどいよ。檸檬まで---他ならぬ檸檬の頼みだから、がんばったのに。



そう言って、くっすん。て感じで俯く爽君。


「場所取りやらの役割分担は、決めたことだろーが?

そもそも場所取りがいいって自分から言ったんじゃねーか。恩着せがましいんだよ」