遊園地も動物園も、行ったことはない

月子の母は、元々体が弱く、月子を生んで間もなく、病院での毎日が始まった

父は入院費のために、寝る間も惜しんで働いていたため、遊んで、という一言が、言えずにいた

姉には姉で友達がいて、仲間に入ろうとも思わなかった

知らず、1人で時間が過ぎるのを待つことになった幼年期を、寂しいと気づいたのは園村の家に来てからだった


「どこ行こっか?」

「・・・・・・・・・・・・」


理生に問われても、月子には行きたい場所など浮かばない