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ファミレスでたらふくメシを食べたあとは、奏に言われた通り寄り道せず直帰。



金………


金!


金だーっ!



うん…
やっぱ俺ってがめついのかも…。





ほっとけ!







「ただい……ギャッ!」



聞こえるか聞こえないかくらいの声で玄関のドアをあけた瞬間、俺に何かが覆いかぶさってきた。




なに!?
なにごと!?
襲われた!?
死んだ!?
俺、死んだ!?





「何してんの。」




「…………え?」





聞き覚えのある声に目を開けると、覆いかぶさっていたものがフワリと浮いた。




「おう…不良息子。」





目の前にいたのは、弟の葵。



風呂上がりなのか、サラサラの金髪のうえにはタオルが乗っかっていた。



「誰が不良息子だ。」





中2のクセに髪の毛金色にしてる時点で誰がどー見ても不良息子だろ。



と、心の中で突っ込む。



「ちょっと、おにー。神戸さん置きっぱなしになってるよー。」



神戸…さん?


改めて葵に目を向けると、等身大パネルを抱えている。



「またかよっ!」




等身大パネルは神戸ひまり。


何台目だよ!


覆いかぶさってきたのはどうやら“コイツ”らしい。