最近のあたしは、
なんだかあたしじゃないみたいなんです。
じゃあ誰なんだと言われれば、神戸ひまりですと答えるしかないわけですが…
授業のときも、仕事のときも、なんだか泉サマのことばっかり考えてるような…
「それはズバリ恋だね!」
「………彩ちゃん…近い…」
今にもおでこ同士がくっつきそうな距離で目をカッと見開く彩ちゃん。
こ…怖いよ…
「寝ても覚めても泉サマって完全恋じゃん。恋以外の何物でもないじゃん。むしろ恋じゃなかったら何なのさ。」
「えっとー…錯覚?」
「錯覚!?」
「うん…疑似恋愛中だから…その恋してるって錯覚に陥ってるだけで泉サマが好きなわけじゃないんじゃないかな…なんて…」
「でも2回もチューしといて錯覚ってことなくない?」
チューて!
一瞬にして顔が赤くなった。
「顔真っ赤にして…ウブだねえ~。」
「もうその話はしないで…恥ずかしくて死にそう…!」
「しっかし…話聞いてると泉サマもよく分かんないよな~。ひまりのことが本気で好きなのか、はたまた疑似恋愛にどっぷり浸かってるだけなのか…読めん!」
「あたしもよく分かりません…」
「でもさ、恋なのか錯覚なのか分からないにせよ、泉サマがいいって思うようになったのはひまりにとって大きな成長じゃない!?泉サマのおかげで前に比べたらどもらずに話せるようになってきてるし、泉サマには感謝しないとだよ!」
「そうだよね……」