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キスは初めてじゃない。


今まで生きてきて唇を奪われることが多くて(特に男に)、キスなんて俺にとっては恐怖でしかなかった。




なのに、




瞬間的に俺は



神戸に






キスしたい




と思ってしまった。





アイツは相当すごいヤツなんだと思う。




自分を消して完全に役に成りきることが出来る。



神戸なのに神戸じゃない気がして初めは呆気にとられたけど…セリフが進んでいくうちにあまりにも神戸の演技がうますぎて、



あれ…?
俺、コイツのこと好きなのかなって錯覚に陥った。






「先生に迷惑かけてるのは分かってる……分かってるんだけど………先生じゃないと…ダメなんだよ。先生のこと大好きなんだもん。」





ちゃんと分かってる。
これは演技。



なのに、なんなのこの感覚。




まるで本当に告白されてるみたいで、





素直に神戸を「可愛い」と思えた。



女優やってんだから見た目がいいのは当たり前なんだけど…



そういうんじゃなくて…



内面的な可愛さというか…



よく分かんないけど多分こういう気持ちを「キュン」って言うんだろう。




そのあとキスをする先生の気持ちが分かった気がした。



確かに…




したくなるし…



現にしてしまった。




これが男の本能なのか、はたまた違う感情なのか…