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学校から帰ってくると家には誰もいなかった。


うちは両親が共働きで、帰ってくるのは7時過ぎ。


葵は中学生だけど、部活(テニス)があるから大体いつも俺より帰りが遅い。


奏なんて論外で、家にいないことのほうが多い。



今日は俺を呼び出してるくらいだから休みなのかもしれないけど。




「はあ……」



それにしても落ち着かない。



俺は冷蔵庫の中からコーラを出して一口飲んだ。



神戸ひまりになんて全然興味はないけど、芸能人には変わりないわけで…芸能人が平凡なこの家にやってくると思ったらなんだかスゴいことのように思えた。




神戸ひまり。




テレビで見る限り、明るくて元気で何が楽しいのかわからんが常にニコニコしてて、


“天真爛漫・純真無垢”


そんな言葉がよくお似合いと言った中学生女子。



いわゆる子役。



すげー生意気だったらどうしよう。



てゆーか絶対生意気に決まってる!



奏はあんなこと言ってたけど、あいつは神戸信者だからよく思いすぎてるだけなんじゃねーの?



実際は何かと芸能人ってことをアピールしてくるお高くとまった女に違いない…!


……なんて、会う前からこんなこと思ってる俺って相当ひねくれてるな。