月の綺麗な晩だ。

満月が過ぎ、欠けて弱々しくなってはいるが、寝静まった都の輪郭を明るく浮かび上がらせるほどに眩しい。

ここは日出る国の都、帝のおわす御所から真っ直ぐ延びる大路を中心に、貴族、平民までが暮らす一大都市だ。


人が多ければ多いほど、
そして、格差があればある程、
そこには闇も潜む。

善も悪も内包し、全てが眠りに落ちたような晩だった。