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『じゃあ、香澄のアド送って』


一臣君に言われて赤外線で送った後、一緒に電車に乗って帰って来た。

そして家の前まで送ってもらった。

電車に乗っている間、あたしが押し潰されないようにさりげなく気を使ってくれてたなぁ、とか、

あたし達の降りる最終駅に近付くにつれ、だんだん人が少なくなったから、少し離れた一臣君にもうちょっと近くにいて欲しかったなぁ、なんて思ったり、

電車の中でお互いの中学校がどこだったとか、小学校がどこだったとか

同じ市に住んでるのに一臣君と一回も学校がかぶらなかったのは、一臣君が全部天海だったからとか、

そんな話をしたなぁとか、

勉強教えてくれるの上手かったなぁとか、

今日の事ばかりを自分の部屋のベッドの上に座り、クッションを抱えながらぽけーっと思い出していた。

クッションに顔を埋め、一人照れたり、溜め息を吐いたり、

視界に入った携帯を見てまた照れたり。

傍からみたら明らかにあたしは変。

でも、いいや。

誰も見てないし。

あたしは今、凄く嬉しいし。


(だって一臣君のアド…)


ふへへ、と笑ってしまうあたしはやっぱり気持ち悪いに違いない。